2013年1月29日火曜日
論: Chemical versus microbial extractions of Fe(III)
Reactive iron(III) in sediments: Chemical versus microbial extractions
Hyacinthe, C., Bonnevile, S., and Van Cappellen, P. (2006) Geochimica et Cosmochimica Acta, 70, 4166–4180
富栄養化したScheldt estuary (ベルギーとオランダにまたがるスヘルデ川の河口)で堆積物を採取、化学的・微生物学的鉄の抽出について比較。化学的抽出にはascorbate-citrate (buffered at pH 7.5), ascorbic acid, 1M HClの3つで処理。リガンドもしくは酸によって促進される還元溶解か、プロトンによって促進される溶解かが異なる。微生物学的抽出ではO2の代わりにFe3+を最終電子受容体として呼吸をおこなうShewanella putrefaciensを培養。堆積物中の鉄のbioavailabilityについても評価する。
実験の結果、サンプルより抽出された鉄の量は、全てのサンプルにおいて ascorbate < acid ascorbic < HCl で多かった。つまり、酸によって促進される溶解のほうがFe(II)や反応性の低いFe(III)を溶解させる。堆積物中に含まれていた抽出される鉄の最大量は、the reactive continum modelで実験データをフィッティングすることによって求めた。S. putrefaciensによる鉄の抽出量は中性のpH付近でcitrateの存在下でascorbateで鉄の抽出を行った場合と直線関係にあった。つまり、堆積物中のbioavailableな鉄の量を見積もる際には、同条件でascorbateによる鉄の抽出を行う方法が適している。
しかしながら、ascorbateで還元される鉄の量のうち、S. putrefaciensによって用いられる量は65%程度であった。これは固相のFe(III)への物理的なアクセスによる制限によるものかもしれない。
化学 vs 微生物学的な鉄の溶解実験で、bioavailableな鉄の見積もり方について検討した研究。天然環境のお仕事は魅力的に見えるけれど、わたしは圧倒的に培養実験のほうが面白いと思う!どこまでが「無機物」で説明できる現象で、どこからが「微生物」でしか説明できない現象なのか、それを突き詰めるには培養実験を繰り返すしかないのだろうな。あああ、培養とモデルを組み合わせた仕事がしたい。うずうず。
まだ本決定ではないけれど、4月からこの論文のラストオーサーのPhilippeのグループのところで1ヶ月半ほど客員研究員として研究してくる予定。も〜〜〜、楽しみすぎて楽しみすぎて仕方がない!!!向こうに行くまでになんとか進めておきたい仕事があるけれど、今はみんなの卒論にひたすら赤を入れる日々...!!!あとも少しで提出だ、ラストスパート頑張れな!!!
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