2013年1月27日日曜日

論: 海洋酸性化と鉄のbioavailability




Effect of Ocean Acidification on Iron Availability to Marine Phytoplankton
Shi D., Xu, Y., Hopkinson, B.M., and Morel F.M.M. (2010) Science 327, 676-679



 二酸化炭素濃度上昇に伴う海洋酸性化により海水中の鉄の存在形態が変わり、植物プランクトンの成長が阻害されることがあることを実験により証明。実験対象はThalassiosira weissflogii, Thalassiosira oceanica, Phaeodactylum tricornutum, Emiliana huxleyiの4種。EDTAでバッファーした培養液中で二酸化炭素分圧を変え、定常状態時の鉄吸収速度を測定し、pHの低下に伴い鉄の吸収速度が低下していることを確認。鉄の吸収速度の低下はpHによる生理学的な影響では無く(このロジックについてはよく説明されていないように思うのだが)、鉄のspeciationの変化に起因すると結論づける。具体的には錯解離定数の変化、錯生成した鉄の酵素による還元、コロイドの溶解度、細胞壁への吸着、などがpHによる影響を被る。



 酸性化によってむしろ鉄の溶解度が上昇してbioavailableになると単純に考えていたので興味深く読む。存在形態のことはちゃんと考えないとだめだな、確かにあり得る。反省。Speciationが重要となると、有機物の存在とその錯生成も重要なファクターなのだろうな。評価が難しそうだけれど。



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