2014年6月20日金曜日

奈良女大 環境科学コース新設記念講演会のご案内

奈良女子大学 理学部 化学生命環境学科
環境科学コース新設記念講演会のご案内

「地球の未来 (Future Earth) を考えよう!」
http://www.nara-wu.ac.jp/rigaku/2014/pr_pdf/kankyo20140520.pdf
日時: 6月28日(土) 10:00ー12:30
場所:奈良女子大学 講堂

今年度より奈良女子大学理学部が新しくなり、
学科が数物科学科と化学生命環境学科の2学科に分かれ、
後者の化学生命環境学科に「環境科学コース」が新設されました。


来週末の28日(土)に本学講堂において
環境科学コースの新設記念講演会が開催されます。
私も少しだけ話をすることになっております。

参加料は無料です。本日が事前申込の締切となっておりますので、
是非お誘い合わせの上お越しください!


2014年6月17日火曜日

研:研究室説明会

そろそろ3回生の研究室分属の時期になりましたね!
数理生物学グループでは

6月18日(水)13:00

より、G303にて高須・高橋・瀬戸研の合同説明会を行いますので、
いずれかもしくは全部の研究室に興味のある学生の皆さんは是非参加してください。

学生の皆さんには最初から興味範囲を狭めず、色々な研究室を回って先生方や先輩達と話してみることをおすすめしています。

1度しかない卒業研究です、自分が思いっきり打ち込めるテーマを見つけてほしいです。
全力で楽しみながら研究に励んでもらいたいですよ!

2013年12月2日月曜日

論:種間関係の多様性と生態学的群衆の安定性




Diversity of interaction types and ecological community stability
Mougi, A. and Kondoh, M.  (2012) Science 337, 349-351




 異なる群衆間の関係(ここではantagonistic or mutualistic)が群衆の安定性に与える影響を理論的に検証。群衆の動態はHolling type I or II、ネットワーク構造はcascade or bipartiteで記述。全相互関係数における相利関係数の割合の変化に対する群衆の安定性の応答をシミュレーションし、異なる関係性が混ざり合ったハイブリッドな状態が群衆の安定性を最も高くすることを示す。



メモ:
 ライフサイエンス新着論文レビューにて日本語で同論文が紹介されているため、英語の苦手な学生はこちら参考にしながら読まれたし。



2013年11月28日木曜日

四方山:Gefährlich leben!


Niemand lernt, Niemand strebt danach, Niemand lehrt – die Einsamkeit ertragen.


Man muß noch Chaos in sich haben, um einen tanzenden Stern gebären zu können.


What is the seal of liberation? — No longer being ashamed in front of oneself.


Hat man sein warum? des Lebens, so verträgt man sich fast mit jedem wie?


Was mich nicht umbringt, macht mich stärker.


Du sollst der werden, der du bist.


There is in the world only one way, on which nobody can go,
except you.


- Friedrich Wilhelm Nietzsche




ドイツ語での出典がわからなかった言葉は英語表記。

論:DIRBによる鉄酸化物の還元に対するFe2+吸着阻害の実験的検証




Effect of sorbed Fe(II) on the initial reduction kinetics of 6-line ferrihydrite and amorphous ferric phosphate by Shewanella putrefaciens
Hyacinthe, C., Bonneville, S., and Van Cappellen, P.  (2008) Geomicrob. J., 25, 181-192




 Fe2+によるFe(III)還元阻害の影響を調べるために、鉄酸化物(6-line ferrihydriteとアモルファスのリン酸化鉄(以下FeP))と還元細菌のS. putrefaciensに対して事前にFe2+の吸着を行い、短時間の還元実験における還元速度をコントロール(吸着無し)と比較。

 還元速度にはほとんど違いが見られなかったことを報告。ただし、FePにおけるFe2+の吸着量がFePの表面サイトの最大吸着量に達する程度であった場合には還元速度がやや減少。この結果から筆者らはFe2+によるFe(III)還元の阻害は鉱物表面の吸着サイト全て、もしくは細菌の金属吸着サイトが全てFe2+で飽和した時のみ生じるのではないかと提唱。



メモ:
 Liu et al. (2001) ES&TでS. putrefaciens strain CN32に対する同様の吸着実験が行われており、そちらではFe2+吸着によって還元速度への影響が報告されている(Fe2+濃度上昇が生じるまでに時間遅れが生じる)。LiuらはHyacintheらより1オーダー高い濃度のFe2+で24時間をかけて細胞に対する吸着を行う(Hyacintheらは2時間)。LiuらはFe(III)-citrate錯体を電子受容体として利用。



2013年11月24日日曜日

本:差別語からはいる言語学入門


週末はいのちのおせんたく日和だったので、電車に乗ってぷらっとお散歩していました。
車内にて

差別語からはいる言語学入門 田中克彦著 ちくま学芸文庫

を読了。大変興味深く読みました。以下感想。

 著者は「差別語は使うべきではないが、単に臭いものに蓋をするように無視したり削除したりするのではなく、何故その言葉が差別語であるのかを考えることが必要ではないか」という立場で、いくつかの差別語に関する考察を紹介しています。差別語をなくすためにどうしたら良いか?という回答を得たいという方にはお薦めできません。この本では差別語は言語学的な研究対象であり、その善悪が問われているわけではありません。つまりは差別語に関する実践的な対応の仕方を目的として書かれた本ではなく、差別語の学術的な興味が綴られています。

 ...とここまで前置きをして、むしろ後者に興味を持たれる方には是非お薦めです。差別語に関する新たな視点・洞察を得ることができるのではないかと思います。例えば、著書の最初の方で、「差別語の糾弾は初めて非エリートがエリート階級から言葉を奪取しようとした動きであった」との考察が紹介されているのですが、これはわたしにとっては大変新鮮で、差別語について新たな観点を得るものでした。素人意見で恐縮ですが、「生きた」言葉を扱う言語学は、生物学的であるなぁと感じつつ読み進めました。まずどちらも進化するものを対象とし、時にその過去の復元が難しい点。そして要素に還元しても言葉も生物もその機能としての意味をなさない点。

 以下は著書で最も好きな一文です。

 たいせつなことは、すこしでも、自分が十分なっとくのいかない説明や主張があったばあいには、なぜ、しっくりと理解できないかとよく考えてみることである。(143ページより抜粋)

 非道徳的である、倫理的でない、人が傷つくからやめろ、というのは、真っ当ですが、その意味を理解しない人を納得させられる言葉ではありません。わたしは異なるイデオロギーの人々を説き伏せることができる言葉が欲しい。

 また、著書の本筋とはずれますが、下記の一節に深く共感しました。

...人間は何か変わらないもの、変えようと思っても変えられないものを、アイデンティティなどといって、異常に重んじるという保守的な性質をもっている。アイデンティティほど、人間を不動のものにしばりつけて、精神の苦しみを与えるものは他にないのにである。(68ページ目より抜粋)

 知らぬ存ぜぬで自由になりたいことがたくさんあるのですが、人生、なかなか儘なりません。それでもできる限り自由になれたら!



それにしても紅葉綺麗でした。


2013年11月22日金曜日

研:セミナーの案内

*** セミナー時間が変更になりました! ***

東大農学生命科学研究科土壌圏科学研究室の黒岩恵さんが11月25日(月)に共同研究打ち合わせで訪れてくれることとなり、折角なのでセミナーの依頼をしたところ快諾してくださいました。

インフォーマルなセミナーです、急なアナウンスとなりましたが、ご関心のあります方は是非お越しください。また、夜は近鉄奈良駅近くで懇親会を行う予定ですので、ご都合のよろしい方はどうぞご参加ください。

講演タイトル:「生態系機能とプレイヤーはつながるか」
講演者:黒岩恵 (東大農学生命科学研究科土壌圏科学研究室 D2)
日時:11月25日(月)10時〜 13時〜
場所:奈良女子大G棟303室

要旨:
 森林の生産性は一般に窒素の供給によって制限されてい ると考えられており、植物や微生物にとって主な窒素源で ある無機態窒素(アンモニウム(NH4+)および硝酸(NO3−))の 生成や消費プロセスは特に重要である。植物や微生物は一般的に土壌中で無機化によって生成する NH4+および硝化 によって生成する NO3−を利用する(図 1)。その一方で生成 した NO3−は容易に水系へと流出し、またガス態窒素へと還 元(脱窒)される (図 1;青矢印)。多量の NO3−の流出は水系の富栄養化を、また脱窒過程で放出される亜酸化窒素(N2O) や一酸化窒素(NO)は温暖化やオゾン層破壊、光化学オキシ ダント生成を引き起こす。したがってこれらの問題の低減と、健全な森林生態系の維持・ 管理のために、硝化はキーとなるプロセスであり、どのような要因によって制御されてい るのかを明らかにする必要がある(図 1)。しかし、硝化や他の窒素循環プロセスを含む土壌 中の物質変換や移動プロセスは地理的条件(気候・植生など)や地質的条件に強く影響され、 硝化の制御要因を一般化することは難しい。さらに、硝化は微生物による代謝反応であり、 硝化の制御メカニズムを明らかにする上で活性を担う微生物の生理特性を考慮する必要が ある。しかし森林土壌において、どの微生物群が硝化活性を担っているかはいまだ不明瞭 である。具体的には、硝化の第一段階である NH4+酸化は、これまで主に独立栄養性アンモ ニア酸化細菌(AOB)によって駆動されると考えられてきたが、これに加えて特に酸性森林土 壌では従属栄養細菌・糸状菌(Schimel et al. 1984 AEM)や近年発見されたアンモニア酸化 古細菌(AOA)の関与が示唆されている( Leininger et al. 2006, Nature)。また、これらの微 生物が窒素循環速度をどのように制御しているかについてはほとんど未解明であるのが現 状である。
 本発表では生態系における窒素フロー測定の背景と現状、またこのような生態系の「機 能」と「プレイヤー」の関係性をどのように検証していけば良いのかについて、近年の事 例をとりあげながら、物質循環および微生物生態学の視点から考察する。