ラベル 論文紹介 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 論文紹介 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2013年12月2日月曜日

論:種間関係の多様性と生態学的群衆の安定性




Diversity of interaction types and ecological community stability
Mougi, A. and Kondoh, M.  (2012) Science 337, 349-351




 異なる群衆間の関係(ここではantagonistic or mutualistic)が群衆の安定性に与える影響を理論的に検証。群衆の動態はHolling type I or II、ネットワーク構造はcascade or bipartiteで記述。全相互関係数における相利関係数の割合の変化に対する群衆の安定性の応答をシミュレーションし、異なる関係性が混ざり合ったハイブリッドな状態が群衆の安定性を最も高くすることを示す。



メモ:
 ライフサイエンス新着論文レビューにて日本語で同論文が紹介されているため、英語の苦手な学生はこちら参考にしながら読まれたし。



2013年11月28日木曜日

論:DIRBによる鉄酸化物の還元に対するFe2+吸着阻害の実験的検証




Effect of sorbed Fe(II) on the initial reduction kinetics of 6-line ferrihydrite and amorphous ferric phosphate by Shewanella putrefaciens
Hyacinthe, C., Bonneville, S., and Van Cappellen, P.  (2008) Geomicrob. J., 25, 181-192




 Fe2+によるFe(III)還元阻害の影響を調べるために、鉄酸化物(6-line ferrihydriteとアモルファスのリン酸化鉄(以下FeP))と還元細菌のS. putrefaciensに対して事前にFe2+の吸着を行い、短時間の還元実験における還元速度をコントロール(吸着無し)と比較。

 還元速度にはほとんど違いが見られなかったことを報告。ただし、FePにおけるFe2+の吸着量がFePの表面サイトの最大吸着量に達する程度であった場合には還元速度がやや減少。この結果から筆者らはFe2+によるFe(III)還元の阻害は鉱物表面の吸着サイト全て、もしくは細菌の金属吸着サイトが全てFe2+で飽和した時のみ生じるのではないかと提唱。



メモ:
 Liu et al. (2001) ES&TでS. putrefaciens strain CN32に対する同様の吸着実験が行われており、そちらではFe2+吸着によって還元速度への影響が報告されている(Fe2+濃度上昇が生じるまでに時間遅れが生じる)。LiuらはHyacintheらより1オーダー高い濃度のFe2+で24時間をかけて細胞に対する吸着を行う(Hyacintheらは2時間)。LiuらはFe(III)-citrate錯体を電子受容体として利用。



2013年11月3日日曜日

論:微生物群衆の情報は窒素循環を知るためには役に立たない?




Do we need to understand microbial communities to predict ecosystem function? A comparison of statistical models of nitrogen cycling processes
Graham et al. (2014) Soil Biol. Biochem., 68, 279-282




微生物群衆の遺伝子存在量データを含む土壌多変量データに対して、硝化速度やN2Oフラックスを従属変数としてステップワイズ変数選択、重回帰分析を用い、微生物群衆データがない方がモデルの説明力が高いことを示した論文。

それで微生物群衆データの情報が窒素循環を知るためには有益でないとするのはちと乱暴すぎるのでは?
まず線形和だけで従属変数を説明できるとする考え方は仮定に過ぎないので、その仮定に基づいたら微生物群衆データ情報は役に立たないという結論になった、というだけの話だと思うのです。
非線形関係を考慮したらどうなるのか?という議論も必要。

統計モデルはプロセスを駆動するメカニズムを知るための指標を提示するものであって、統計モデルを構築することでメカニズムを理解することにはならないと考えます。



2013年3月15日金曜日

論: 嫌気好中性鉄酸化細菌によるバイオミネラリゼーション



Iron biomineralization by anaerobic neutrophilic iron-oxidizing bacteria
Miot J. et al. (2009) Geochimic. Cosmochimic. Acta, 73, 696-711



概要

 嫌気性かつ好中性で、硝酸還元/鉄酸化をおこなうAcidovorax sp. strain BoFeN1を培養し、生成された鉄酸化物の特徴を走査型電子顕微鏡(STXM)、透過型電子顕微鏡(TEM)などを用いて調べる。

 BoFeN1は3つの異なるタイプの鉄酸化物を沈殿することが観察された。それらは沈殿の形態・沈殿する場所によって特徴付けられる: (1) 細胞の周辺に直径約100 nmの鉄酸化物の球状体が繊維状に集合したタイプ。(2) 細胞表層を直径約100 nmの小球体として覆うタイプ。(3) ペリプラズム内に約40 nmの層として存在するタイプ。細胞内と細胞外の鉄酸化物はそれぞれ異なる有機分子と結合していることが観察された。細胞外の場合はexopolysaccharides (菌体外多糖)、細胞内の場合はタンパク質の一部であると見られた。時系列的な観測の結果、細胞での鉄の沈殿はまずアモルファス状のリン酸鉄としてペリプラズム内で生じ、その後コロイド状の鉄に富んだ小球体として細胞表層を覆った。また、細胞極において非対称な鉄酸化物の沈殿が生じていることが観察された。



 細胞付近にどのように鉄が存在しているのかを示すTEMとSTEMによる素敵写真が掲載されております。必見です。目で見るって大事ですよね、たくさんのイメージがわいてきます。使え、五感!モデルの研究の方でも面白い結果がではじめました。Mathematicaちゃんは可視化の面で役に立ってくれています。

 余談ですが、先に投稿していた論文、査読者が決まらないまま2ヶ月半放置されていたとかで。。長丁場な予感。



2013年3月13日水曜日

論: フミン質・有機コロイドが微生物学的鉄酸化/還元に与える影響



How does organic matter constrain the nature, size and availability of Fe nanoparticles for biological reduction?
Pédrot, M., Le Boudec, A., Davranche, M., Dia A., and Henin, A. D. (2011) J. Colloid Interface Sci., 359, 75-85



概要

 フミン質が存在することで鉄の酸化にどのような影響が現れるのか、また、生成された鉄酸化物のbioavailabilityにどのような影響が現れるかについて、培養実験によって検証。

 フミン質が存在しないときにはnano-lepidocrociteのマイクロスケールの塊が生成されたが、フミン質が存在する場合には鉄の粒子はナノスケールにとどまり、有機物中に分布していた。また、二価もしくは三価の鉄がフミン質と錯生成していることが観察された。異化的鉄還元細菌(Shewanella putrefaciens)を用いて、有機物コロイドと結びついているナノスケールの鉄粒子と純粋なnano-lepidocrociteのbioavailabilityを比較したところ、コロイドと結びついているものはnano-lepidocrociteの還元速度の8倍の速度で還元された。これらの結果は、天然環境において有機物や有機物コロイドが鉄の動態に重要な寄与を及ぼしていることを示唆する。



 微生物的に生成された鉄酸化物の還元速度に非常に興味があります。DIRBを用いずに無機的に還元したような実験は無いのかな?



2013年2月28日木曜日

論: バクテリアマットにおける鉄酸化の培養実験



Control of ferrous iron oxidation within circumneutral microbial iron mats by cellular activity and autocatalysis
Rentz, J.A., Kraiya, C., Luther III, G.W., and Emerson, D. (2007) Environ. Sci. Technol., 41, 6084-6089



概要

 2箇所のサンプリングサイトで、10月と12月に採取されたバクテリアマットを培養し、環境中における微生物学的な鉄の酸化速度を見積もる。特に、バクテリアの細胞による(能動的な)酸化速度と、自己触媒的な酸化速度(バクテリアの細胞表層における受動的な酸化も含む)、バクテリアマットの組成が酸化速度に与える影響に着目する。

 酸化速度はサンプリングサイトの違い、採取の時期によって1オーダーほど異なる結果となった。鉄の酸化は二価鉄の量によって決定されていた。アジ化ナトリウム処理をした培養槽においても、バクテリアの活性がある場合と同オーダーの鉄酸化速度が観察された。これは、バクテリアが生成した鉄の酸化物による自己触媒的な鉄の酸化が重要であることを意味する。このため、鉄酸化細菌は自らが生成した鉄の酸化物と競合関係にあるのかもしれない。



 鉄酸化細菌によって生成される鉄の酸化物がbyproductsと表現されているけれど、byproductsなのかしら?単にproductsのような。

 4月6日から5月後半にかけてカナダのWaterloo Universityというところに短期滞在してくることになりました。2012年のInternational Society for Environmental Biogeochemistry (ISEB) の学会にて知り合った教授のところにご厄介になります。あれから半年、日本に帰国してからは、ISEBの時に感じた昂揚を胸に、バクテリアのことばかりを考えて研究生活を過ごしてまいりました (卒論指導時期を除く) 。

 鉄酸化・還元細菌の個体群動態と進化に関するモデル研究を中心に、化学合成細菌群衆に関連する共同研究を推進する予定です。向こうのラボでは実験も観測もモデルもやっているのですのよ!!(言葉では言い尽くせない興奮)



2013年2月8日金曜日

論: 深海に棲息するエビと鉄の酸化




Biotic and abiotic controls on iron oxyhydroxide formation in the gill chamber of the hydrothermal vent shrimp Rimicaris exoculata
Schmidt, C., Corbari, L., and Le Bris, N. (2009) Geobiology 7, 454-464



概要

 深海熱水系に棲息するエビRimicaris exoculataが、脱皮サイクル期間を通し、周辺環境の二価鉄の酸化にどれくらい寄与しているのかについて調べる。実際に鉄を酸化するのはRimicaris exoculataに共生する鉄酸化細菌である。

 Rainbow hydrothermal vent siteにおいてRimicaris exoculataをサンプリングし、鰓室の酸化鉄を溶解、溶存態鉄の濃度を測定した。また、Rimicaris exoculataの生息環境も同時にモニタリングし、Rimicaris exoculataの鰓室で鉄の酸化が周辺環境より卓越するのか、また、homogenous な鉄の酸化と heterogeneous な鉄の酸化のどちらが支配的であるのか、鉄の酸化の動態モデルにより検証した。

 Rimicaris exoculataの鰓室における鉄の酸化は周辺環境で生じる酸化と比較して進行が速いことが示された。Rimicaris exoculataの周囲では酸素濃度やpHの低下し、これによって homogeneous な鉄の酸化は周辺環境より進行が遅い。しかしながら、鉄の酸化物がある程度生成されると heterogeneous な鉄の酸化が始まり、鉄の酸化速度を支配すると考えられる。

 鉄の酸化動態モデルの計算結果からは非生物学的な heterogeneous (autocatalytic) な鉄の酸化が支配的であり、鉄酸化細菌による鉄の酸化が困難であることが示唆された。しかしながら、脱皮の初期段階では局所的な酸素濃度の低下により、鉄酸化細菌による鉄の酸化が可能かもしれないと考察する。



 生物学的な鉄の酸化と非生物学的な鉄の酸化の違いについて考える日々。Schmidtらの研究はサンプリング、観測、モデリングの組み合わせで、取り組み的には非常に魅力的だと思うのだけれど、酸化鉄のモデリングはこれでいいのかしら。特に式(9)が疑問。あと、式(7)がFe(III)-O-Fe+-dependentなのも疑問。どうしてFe(III)-OHではないのかしら。元の論文読んでみる必要があるなぁ。

 Rimicaris exoculataは画像検索すると可愛いエビさんに会える。ただし、うじゃ〜〜〜っと生き物がひしめいているのが苦手な方にはちょっと辛い画像もあるのでご注意を。脱皮サイクルと酸化速度の関連は、とっても興味深い。



2013年2月5日火曜日

論: 非生物学的な鉄酸化物と生物学的な鉄酸化物の違い




Bacillus subtilis bacteria hinder the oxidation and hydrolysis of Fe2+ ions
Fakih, M. et al. (2008) Environ. Sci. Technol., 42, 3194-3200



 バクテリアは鉄の二次鉱物の生成と密接に関係していることが認識されている。その一方で、微生物学的に生成されたFe(III)の沈殿物が、非生物学的に生成されたFe(III)の沈殿物と比較して、その組成や、反応速度論においてどのような違いがあるかについては不明な点が多い。Fakih et al. は実験微生物としてBacillus subtilisを対象とし、中性環境環境下で様々なFe2+濃度条件における培養を行い、SEMとXRDによって沈殿物の特徴について調べた。また、水素生成速度やレドックスポテンシャルの動態についても観測した。

 非生物的な酸化と微生物学的な酸化を比較した結果、H+の減少に対する鉄酸化物の生成量が化学量論的に異なることが明らかになった。これは、微生物学的な鉄の酸化においてoxidation/hydrolysisが不完全であることを意味する。また、SEMによる観察でも、非生物的な酸化と微生物学的な酸化によって生成した沈殿物に違いが見られた。また、バクテリアの菌密度も鉄の沈殿物の組成に影響を与えることが明らかになった。中程度の菌密度では結晶化度の低い粒子が生成されたのに対し、菌密度が高いときには鉄酸化物の粒子の生成が完全に阻害された。反応速度論的な影響としては、非生物学的な酸化の際には強いautocatalytic effect (自己触媒反応)の傾向が観察されたが、微生物学的な酸化の場合はautocatalytic effectが現れるまでより時間がかかり、また、その程度も非生物的な場合と比べて小さかった。これは、バクテリアのreactive sitesとFe2+が錯生成することによって、酸化や加水分解速度に影響が及んだからかもしれない。



 Vollarth et al. (2012)の論文の引用文献巡り中。気がつけば再び鉄に関わりのある研究に(学生の頃とは全く異なるアプローチで)携わることになりそうです。今日は久々に研究の時間が取れたので、Mathematicaにてモデリング。微生物学者や地球化学者に直感的に理解しやすい可視化を目指していますが、Manipulate関数は本当に良い!!

 関係ないですが、今日は立春並びに東風解凍。寒さもやや緩んできた...と思いきや、明日は大雪...?



論: 生物地球化学的な酸化還元過程が環境中の汚染物質の動態に与える影響のレビュウ (2)




Biogeochemical redox processes and their impact on contaminant dynamics
Borch, T. et al. (2010) Environ. Sci. Technol. 44, 15-23



この記事より続き。

Impact on Trace Elements

Trace Metals

 様々な人間活動により微量元素がredox-dynamicな環境中に負荷されている。Cr, Cu, Co, Ag, Tc, Hgなどの微量金属は複数の価数をもつ。これらの金属はFe2+やH2によって還元される。一方で、微生物は異化呼吸もしくは解毒的な経路で、様々な、かなり毒性の高い金属でさえも、直接で気に還元しうる。微量金属の還元はCr(VI)からCr(III)への還元のように可動性を減らす場合もあれば、Hg(II)からHg(0)への還元のように可動性を上昇する場合もある。

 微生物夜呼吸は金属と結合する natural organic matter (NOM) の固相-液層分別、吸着や沈殿平衡を介して、間接的に微量金属の化学種分別に影響する。微生物学的Co(III)-やNi(II)を含むgoethiteで報告されているように、微生物学的な酸化物の還元は吸着能を失わせる。また、放出されたFe2+は鉱物や有機物への吸着において、他の正に荷電した微量金属と競合するかもしれない。そのような可動性の上昇は、微量金属の吸着や共沈によって相殺されるかもしれない。

 微生物学的硫酸還元は chalcophile metals (親銅金属) の沈殿を促進するかもしれない。硫黄が豊富な堆積物中では、微量金属は硫化鉄と共陳しているか、異なった硫化金属を形成する。しかしながら重金属に汚染された淡水の湿地では親銅金属のavailabilityはしばしばそれらを還元する硫化物の量を超え、微量金属の動態は生物由来の硫化物との競争的な沈殿に強く影響される可能性がある。難溶性の硫化金属の沈殿とは対照的に、硫化金属クラスターの生成は、還元環境において金属の移動性をかなり促進するかもしれない。これは、酸化環境下においても反応速度論的な安定性(この場合は移動しやすいこと?)が維持される可能性があるためである。

 生物地球化学的酸化はO2が還元環境下にもたらされることよって駆動される。中性、アルカリ性pH環境下ではO2によるFe(II)の酸化が非生物学的に急激に進行するが、多くの過程は化学栄養細菌によってゆっくりと進行する。Fe-, Mn-, Al- (hydr)oxidesの沈殿は溶存態の微量金属を効果的に捕らえる。もし沈殿がナノ粒子やコロイドであれば、それらは水圏での微量金属の移動性を大いに促進する可能性がある。


Metalloids

 生物地球化学的レドックス反応過程はAsやSbのようなmetalloids (メタロイド元素)の環境中での運命に強く影響する。Asが飲料水の汚染で世界的な注目を集める一方、Sbによる汚染は局所的に重大である。Sbの価数、Fe (hydr)oxidesへの吸着はSbの毒性や移動性を支配する。

 バングラディシュにおける井戸掘削は浅層水圏の水文学的・生物地球化学的変化を引き起こし、ヒ素の地下水への混入に寄与した可能性があるが、その正確なメカニズムについてはまだ明らかではない。Asの移動性、bioavailabiliy、毒性、環境中での運命は、Asのキャリアの破壊、酸化還元状態やAsの化学種分別の変化などの、生物地球化学的な変化に支配される。地下水中の溶存態のAsの濃度は難溶性のiron (hydr)oxidesと密接に関係している。これは、iron (hydr)oxidesがAs(III)とAs(V)の両方を強く吸着するためである。還元的な地下水で溶存態のAsとFe(II)が高い濃度で観測されるのは、AsリッチなFe(III) (hydr)oxidesの還元が地質由来のAsの移動性に影響しているためである。





 最後まで終わらせたかったけど時間がなかったのでここまで。



2013年2月2日土曜日

論: 生物地球化学的な酸化還元過程が環境中の汚染物質の動態に与える影響のレビュウ (1)




Biogeochemical redox processes and their impact on contaminant dynamics
Borch, T. et al. (2010) Environ. Sci. Technol. 44, 15-23



 環境汚染の動態に影響を及ぼす重要な生物地球化学的酸化還元反応について要約する。 

Major elements, minerals, and humic substances

 地球上の全ての生命は酸化還元反応からエネルギーを得る。

 炭素サイクルは水から与えられる電子により二酸化案蘇我固定される酸素発生型の光合成で駆動される。無酸素発生型の光合成、化学合成による炭素の合成は局所的な炭素源として重要かもしれない。有機物、その他の生物由来の還元剤(例えばパイライト, FeS2)の隔離は、風化によって酸素を消費し、地球表層の気候において地質年代学的に重要な役割を果たした。

 NとPは炭素の酸化還元反応と密接に関与している。窒素は様々な酸化数をもち、酸化数の変わる反応(窒素固定や硝化)は微生物によって促進される。微生物による窒素の利用はその形態に依存し、その結果有機物の生成や循環に影響する。

 パイライトの酸化と結びつく脱窒は肥料負荷の多い水域で重要な硝酸の除去過程である。しかしながら、この反応により生じた硫酸塩は微生物学的硫酸還元を促進する可能性があり、Fe(III) (hydr)oxidesを還元溶解するかもしれない。その結果、鉄にとらわれていたリンが放出し、富栄養化が引き起こされる可能性がある。

 鉄は、最も地球表層において存在量の多い遷移元素として、環境生物地球化学において特に重要な役割を果たしている。酸化型の鉄は低pH環境で溶けやすく、中性pH環境で沈降する。多くの栄養塩、微量元素、汚染物質はFe(III) mineralsに吸着される。Fe(III) (hydr)oxidesの表面は多くの酸化還元反応を触媒する場となっている。
 Fe(III) (hydr)oxidesは還元環境下において例えば硫酸塩によって還元され、有害なソルベートを放出する可能性がある。また、Fe(III)の好物は異化鉄還元細菌の最終電子受容体でもある。異化鉄還元細菌は水素や有機物のcytoplasmic oxidationと難溶解のFe(III)鉱物のextracellular reductionを結びつけ、電子を受け渡しするリン酸化反応を介してエネルギーを得る。Fe(III)鉱物の還元は可溶なFe(II)や、Fe(II)やFe(III)の様々な二次鉱物を生成する。Fe(II)は溶存態でも、吸着された状態でも、固相状態でも、様々な非生物学的還元において強力な還元剤としての役割を担う。

 Fe(II)の酸化は好気・嫌気細菌によって触媒されるかもしれない。微生物学的Fe(II)の酸化は、化学的な酸化が起こりにくい低pH環境で一般的に見られる。中性pH環境下では、Fe(II)酸化細菌は化学的酸化と競争しなければならず、そのためoxic-anoxic境界(例えば水浸しになった土壌中における植物の根の周辺)根の低酸素下において主に生存する。Phototrophic and nitrate-dependent Fe(II)-oxidizing bacteria (光合成硝酸依存型Fe(II)酸化細菌) は中性pHで還元的な環境下で硝酸やMn(IV)の酸化物を用いてFe(II)を酸化する。

 マンガン酸化物は表面積が大きく、その存在量に対して環境中の化学への寄与が大きい。マンガン酸化物は重金属や栄養塩の吸着剤となりうる。よって、天然環境中における汚染物質のシンクとしてふるまう。マンガンはセレンやクロム、ヒ素の酸化に寄与する。また、M(II)の酸化は様々なバクテリアや菌類によって触媒され、生物学的なマンガン酸化物は環境中のマンガン酸化物の主なソースであると考えられている。生物学的に生成されたMn(II)の酸化物ははじめ弱く結晶化しているが、最終的な状態は環境の状態に依存する。

 水圏におけるFe(III)やMn(III, IV)鉱物表面の構造や反応性は無機の吸着剤やnatural organic matter (NOM)に影響される。フミン質はredox-activeで、微生物により還元されうる。例えば、難溶性のFe(III)酸化物と微生物の細胞の電子を受け渡しをすることで、微生物学的還元を促進する。Fe(III)とMn(IV)鉱物表面に対するNOM、リン酸塩、重炭酸塩の吸着し、汚染物質と交換して汚染物質の放出を引き起こすかもしれない。一方で、鉱物に対する微生物のアクセスを制限することで、酵素反応に対して固相を保護する役割を担っているかもしれない。フミン質はイオンとの錯生成、鉱物表面への吸着を通してFeやMn鉱物のbiomineralizationに影響し、一般的に結晶化度の低い鉱物を生成する。

(続く)




 要約しようにもどこもかしこも重要なことが記述されているレビュウだったので、ざっくりと全体を訳すことにした。レビューはすぐ読めるのだけれど、日本語に訳すと割と時間がかかるなー。酸化還元な生物地球化学に興味をもってくれる人を増やすための、布教活動の一環。



2013年2月1日金曜日

論: 低酸素条件下での鉄酸化細菌




Oxygen dependency of Neutrophilic Fe(II) oxidation by Leptothrix differs from abiotic reaction
Vollrath, S., Behrends, T., and Van Cappellen, P. (2012) Geomicrobiology J. 29, 550-560



 pH中性の環境下でFe(II)を酸化する鉄酸化細菌が様々な環境中に存在していることが明らかになっている。しかしながら、pH中性の環境下では無機的な反応が進行しやすいため、無機的な反応と微生物学的な反応が競合することが予測される。これらの鉄酸化細菌は酸素濃度が低いところで卓越する傾向にあり、そのような環境下で無機的な鉄の酸化より効率的に鉄を酸化するかもしれない。この仮説を、Leptothrix chlodnii Appelsの培養実験より検証する。

 無機的・微生物学的鉄の酸化の両方において、鉄の酸化の時間動態に2つの異なる特徴をもつフェーズが現れた。また、鉄酸化物による鉄酸化の促進が見られた。

 酸素濃度に対する鉄酸化速度の応答は、微生物学的鉄酸化ではミカエリスメンテン型の応答が観察された。一方、無機的鉄酸化では線形の応答が観察された。

 時間が経つにつれて微生物学的な鉄の酸化量が無機的な鉄の酸化量を下回る。この原因として、細胞の表面における鉄酸化物の吸着、もしくはextracellular polymetric substances (EPS)による阻害効果が考えられる。



 なんともまあ素敵なデータ満載の論文...!鉄酸化細菌の適応戦略の側面から面白いモデルの研究ができるかなと思っています。カナダに行く前の宿題。結果は...今後発表するであろう論文で!!



2013年1月30日水曜日

論: 鉄酸化物の還元溶解




Kinetics of reductive bulk dissolution of lepidocrocite, ferrihydrite, and geothite
Larsen, O., and Postma, D. (2001) Geochimica et Cosmochimica Acta, 65(9), 1367–1379



 10 mM ascorbic acid at pH 3で3つの鉄酸化物を還元溶解し、reactivityを調べ、reactivityが一体何に起因するのかをChristoffersen and Christoffersen (1976) の鉱物の溶解の式を用いて考察する。式は以下のように与えられる:


ここで、Jは全溶解速度(mol/s)、mは鉄酸化物量を、m0は鉄酸化物量の初期条件を表す。関数fgはそれぞれ鉄酸化物の残存率が溶解に与える影響、溶液の組成(主に還元剤の量)が溶解に与える影響を意味する。本研究ではf(m/m0)=(m/m0)γ, g(C)は一定とし、以下のようにおく:


 溶解速度k'は3種の鉄酸化物で大きく異なり、2-line ferrihydrite > lepidocrocite > poorly crystaline goethiteの順で速かった。多くの実験では溶解速度は表面積に依存しないという結果になったが、lepidocrociteでは表面積に対して線形に溶解速度が上昇する場合があった。これは、溶解速度に対して表面積でなく鉱物の組成が影響していることを意味する。

 γk'と同様3種の鉱物について求められた。γは様々な要因(結晶のサイズ分布、結晶の表面積、reactive siteの密度など)に影響されるが、結晶サイズの分布が還元溶解には最も影響が大きいと考えられる。



 鉄還元細菌のことをより詳しく知るため、まずは無機的な鉱物の還元と溶解の基礎について復習中。無機的な還元だけでも複雑だ。EhとpH、鉄の濃度を連続測定しながら細胞数のデータを取るとか...無理かしら...。reductive dissolutionの日本語訳は還元溶解でいいのかしら?

 今日は午前中研究室の発表練習。午後は卒論のペン入れ。わたしにも、、プログラミングと手計算をする時間をください。。



2013年1月29日火曜日

論: Chemical versus microbial extractions of Fe(III)




Reactive iron(III) in sediments: Chemical versus microbial extractions
Hyacinthe, C., Bonnevile, S., and Van Cappellen, P. (2006) Geochimica et Cosmochimica Acta, 70, 4166–4180



 富栄養化したScheldt estuary (ベルギーとオランダにまたがるスヘルデ川の河口)で堆積物を採取、化学的・微生物学的鉄の抽出について比較。化学的抽出にはascorbate-citrate (buffered at pH 7.5), ascorbic acid, 1M HClの3つで処理。リガンドもしくは酸によって促進される還元溶解か、プロトンによって促進される溶解かが異なる。微生物学的抽出ではO2の代わりにFe3+を最終電子受容体として呼吸をおこなうShewanella putrefaciensを培養。堆積物中の鉄のbioavailabilityについても評価する。

 実験の結果、サンプルより抽出された鉄の量は、全てのサンプルにおいて ascorbate < acid ascorbic < HCl で多かった。つまり、酸によって促進される溶解のほうがFe(II)や反応性の低いFe(III)を溶解させる。堆積物中に含まれていた抽出される鉄の最大量は、the reactive continum modelで実験データをフィッティングすることによって求めた。S. putrefaciensによる鉄の抽出量は中性のpH付近でcitrateの存在下でascorbateで鉄の抽出を行った場合と直線関係にあった。つまり、堆積物中のbioavailableな鉄の量を見積もる際には、同条件でascorbateによる鉄の抽出を行う方法が適している。

 しかしながら、ascorbateで還元される鉄の量のうち、S. putrefaciensによって用いられる量は65%程度であった。これは固相のFe(III)への物理的なアクセスによる制限によるものかもしれない。



 化学 vs 微生物学的な鉄の溶解実験で、bioavailableな鉄の見積もり方について検討した研究。天然環境のお仕事は魅力的に見えるけれど、わたしは圧倒的に培養実験のほうが面白いと思う!どこまでが「無機物」で説明できる現象で、どこからが「微生物」でしか説明できない現象なのか、それを突き詰めるには培養実験を繰り返すしかないのだろうな。あああ、培養とモデルを組み合わせた仕事がしたい。うずうず。

 まだ本決定ではないけれど、4月からこの論文のラストオーサーのPhilippeのグループのところで1ヶ月半ほど客員研究員として研究してくる予定。も〜〜〜、楽しみすぎて楽しみすぎて仕方がない!!!向こうに行くまでになんとか進めておきたい仕事があるけれど、今はみんなの卒論にひたすら赤を入れる日々...!!!あとも少しで提出だ、ラストスパート頑張れな!!!



2013年1月28日月曜日

論: 昔々から硫黄サイクルを回していた細菌さん達




Contributions to late Archaean sulphur cycling by life on land
Stüeken, E.E., Catling, D.C., and Buick, R. (2012) Nature Geoscience, 5, 722–725



 微生物による酸素を用いた陸上のパイライト(FeS2)の酸化は少なくとも2.5 Gyr 以前から行われており、硫黄風化フラックスの総量に対してかなりの比率を占めていたようであることを、マスバランスモデルのフラックス計算により指摘。始生代から初期原生代における海洋の硫黄の存在量データと、海洋への火山活動による硫黄供給フラックス・生物/非生物的風化の硫黄供給フラックスを考慮したマスバランスモデルを組み合わせることで、非生物的風化では硫黄の風化フラックスの総量を説明できないことについて言及。同時期に揮発性ではないモリブデンが堆積物中で増加していたことも確認されたため、説明のつかない風化フラックスの差分は微生物によるパイライトの酸化により説明できるものと結論づける。パイライトを酸化する細菌が存在したことで硫化物の海洋への供給が増え、海洋生態系に大きな影響を及んだことが予想される。もし硫化物の還元がメタンの発生を抑制したならば、大気中への酸素の供給を促進したことも考えられる。



 細かいモデリングのところにも興味があるので、SIを読まなければ。あと、同筆者の面白そうなペーパーがGeobiologyに掲載されていたので、そちらも明日読みたいな。それにしても今日は自分の研究がさっぱりできなかったので、明日は少しでも研究の時間が取れるといいな。。な〜んど言っても同じミスを続けている卒論。最初はできなくても仕方が無いが、言われても変わらないようならもう一年やり直しだぞ〜〜〜!



2013年1月27日日曜日

論: 海洋酸性化と鉄のbioavailability




Effect of Ocean Acidification on Iron Availability to Marine Phytoplankton
Shi D., Xu, Y., Hopkinson, B.M., and Morel F.M.M. (2010) Science 327, 676-679



 二酸化炭素濃度上昇に伴う海洋酸性化により海水中の鉄の存在形態が変わり、植物プランクトンの成長が阻害されることがあることを実験により証明。実験対象はThalassiosira weissflogii, Thalassiosira oceanica, Phaeodactylum tricornutum, Emiliana huxleyiの4種。EDTAでバッファーした培養液中で二酸化炭素分圧を変え、定常状態時の鉄吸収速度を測定し、pHの低下に伴い鉄の吸収速度が低下していることを確認。鉄の吸収速度の低下はpHによる生理学的な影響では無く(このロジックについてはよく説明されていないように思うのだが)、鉄のspeciationの変化に起因すると結論づける。具体的には錯解離定数の変化、錯生成した鉄の酵素による還元、コロイドの溶解度、細胞壁への吸着、などがpHによる影響を被る。



 酸性化によってむしろ鉄の溶解度が上昇してbioavailableになると単純に考えていたので興味深く読む。存在形態のことはちゃんと考えないとだめだな、確かにあり得る。反省。Speciationが重要となると、有機物の存在とその錯生成も重要なファクターなのだろうな。評価が難しそうだけれど。



論: Geobacteraceae in retentostats

How Geobacteraceae may dominate subsurface biodegradation: physiology of Geobacter metallireducens in slow-growth habitat-simulating retentostats

Lin, B., Westerhoff, H.V., and Röling W.F.M. (2009) Environ. Microbiol. 11(9), 2425-2433



 Geobacter metallireducensをretentostat (リテントスタット)で培養、the maximum growth yield (ここでは炭素転換効率で評価される)や細胞の維持に必要なエネルギー量などを見積もる。

 Geobacteraceaeは異化的に鉄を還元する細菌で、鉄が還元されうる還元的な環境、特に富栄養化した水圏環境でしばしば存在が確認されている。自然環境下における化学合成細菌の増殖速度は一般的に非常に遅いが、ケモスタットを用いた連続培養系では細胞の流出が生じるため高い増殖速度で培養を行う必要がある。一方リテントスタットでは細胞の流出が無いため自然環境下に近い増殖速度での培養が可能である。

 LinらはGeobacter metallireducensを0.0008h-1の増殖速度で培養。細胞の維持に必要なエネルギー量が他の従属栄養バクテリアと比較して非常に低いことを確認。また、鉄やフミン酸の代わりとなる電子受容体、2,6-anthraquinone disulfonate(AQDS)を新たなタンパク質合成を必要とせず代替として利用することを確認。これらの特徴によってGeobacteraceaeは鉄が還元されるような還元的な環境下で優勢となるのかもしれない。



 モデル計算に必要なパラメタが手に入り、感謝。実験とモデル、一緒に進められればなぁ。しっかし化学合成細菌の培養は時間がかかるものですね。。現状私のモデルでは炭素転換効率は固定にしてしまっているが、von Stockarらの研究での言及なども考慮して、thermodynmic-basedで考える必要があるかもしれない。


2013年1月25日金曜日

論: 人間に例えるならば20kmの距離電気を受け渡ししているかもしれないバクテリアさんたち

Electric currents couple spatially separated biogeochemical processes in marine sediment
Nielsen L.P. et al. (2010) Nature, 463(25) 1071-1074

Sediment reactions defy dogma
Nealson K.H. (2010) Nature, 463(25) 1033-1034



 堆積物のインキュベーションの結果から、表層より10数mm深部の硫化物の酸化と表層の酸素の還元との間で電子の授受が行われていることを提唱した研究。

 硫化物に富む海洋堆積物の表面を酸化的もしくは還元的海水で処理し、インキュベーションを行った。一ヶ月後、酸化的海水で処理した堆積物では表層での酸素の減少と10数mm深部での硫化物の減少が確認された。硫化物の酸化は状況証拠より鉄、マンガン、硝酸などによるものではなく、表層での酸素の還元と硫化物の酸化との間で電子の授受が行われて生じるものと考えられる。これは表層でのpH上昇が酸素の還元によってのみ説明可能なことからも裏付けられる。表層から酸素が拡散によって深部に供給された可能性もあるが、表層の酸素が枯渇した際には1hというタイムスケールで硫化物の増加が起こる。このタイムスケールは酸素の拡散速度では説明不可能であるため、bacterial nanowiresを介した電子の授受によるものではないかと考えられる。



 なんとも胸の熱くなる論文を読み逃していた。2010年2月かぁ、Natureの個人購読はじめる前だな、とほほ。10数mmの空間スケールでの電子の授受、というとたいしたこと無いように聞こえるかもしれませんが、人間に例えるならばその距離は20kmだそうです(!!)。その間様々なバクテリア種で構成されているであろうにも関わらず、それぞれの端と端でお互い得をするように電子を受け渡ししているなら驚愕。現象としては確かにそれらしくて興味深いのだけれど、どういうメカニズムで電子の受け渡しが可能になっているのだろう。Bacterial nanowireは異なる種間でも接続して電子を受け渡すのだろうか?これが本当なら堆積物モデリングの際に酸素を拡散のみで記述して酸化還元を見積もるやり方は間違いを生じる可能性がある。本論文の仮説を鵜呑みにすることはやや早計かと思うので、周辺について勉強して(特にbacterial nanowire)じっくり考えてみたい。



2013年1月24日木曜日

論: Energy-based modelsのレビュー

Energy-based models for environmental biotechnology
Rodríguez J. et al. (2008) Trends in Biotechnology 26(7) 366-374


Environmental biotechnology is evolving

 廃棄物からのエネルギー回収などのために微生物学的処理が試みられているが、mixed-cltureでは期待していたような結果が得られないことが往々にある。これは物理化学的な環境のわずかな変化や微生物間の競争の結果に依存すると考えらる。このような複雑な相互作用を理解するために数理モデルが役立つ。


Are existing models adequate? 

 数理モデル研究はMass-balance based modelsとして発展し、現在はkinetic-based-modelsに拡張される。しかし、kinetic-based-modelsには以下のような問題点が挙げられる:


  1. 微生物と化学反応の動態を別々に扱う。
  2. 微生物間の競争は無視される。
  3. エネルギー的、熱力学的な制限をしばしば無視する。


What would a suitable model look like?

 Mixed-cultureにおける基質や生成物のフラックスを定量的に評価する数理モデルはその微生物群衆内で生じる反応に関する代謝のstoichiometryとkineticsを考慮しなければならない。現象を説明するために重要な項目を含み、考慮するプロセスは最小化されなければならない。


Including thermodynamics

 質量保存の法則に加え、熱力学的な制限も考慮されるべきであり、熱力学的な側面を考慮したモデルも存在する (これをenergetic modelsと総称して良いのだろうか?)しかしながら熱力学的な制限を加えただけでkinetic-based-modelsは現象をうまく説明できない。これはエネルギー収率を一定と仮定していたり、微生物間の相互作用を考慮しないことに起因する。


An energetic framework

 "Gibbs energy calculations allow the identification of the energy niches that are needed for redox reactions to occur."

 Energetic nichesと微生物活動の関係はまだ明らかにはされていないが、energetic modelsからは重要な情報が与えられる。例えば、ある特定の生成物を得るための特定の反応を伴うプロセスの開発に役立つ。


A metabolic network modelling approach based on energy

 環境要因は微生物が反応から得るエネルギー量に影響する。特に興味が持たれるのはどのような条件の際にエネルギー収量が最大化するかである。また、得られるエネルギー量を最大化するために選択圧がかかると考えられる。このため、進化学的な側面もモデルで考慮する必要があるのかもしれない。





 完全な要約ではなく、興味がある部分の抜き出し。化学合成細菌の動態の数理モデルはまだまだやることがありそうだ。燃える!




2013年1月23日水曜日

論: 窒素の種・群衆・生態学的閾値な話

Impact of nitrogen deposition at the species level
Payne, R.J. et al. (2003) PNAS 110(3) 984-987

 ヨーロッパの酸性質の草原地帯を対象にメタデータ解析を行ったところ、窒素負荷量に対して統計学的に有意な種多様性の損失が確認された。

 ある種の存在量が統計学的に変化する窒素負荷量 (critical-point) の約60%が現行の閾値レベルを下回っており、また、最低レベルの窒素負荷量においても感受性が高い種に影響が及ぶ可能性があることが示唆された。

 群衆レベルでは14.2 kg N ha-1yr-1がロバストな閾値のようであり、これ以上の窒素負荷を被る場所では、窒素負荷に対し耐性がある群衆構造に既に変遷していると考えられる。よって、窒素に対し感受性が高い種を保全するためには少量の新たな負荷であっても避けるべきである。




 これだけの結果が出るデータがそろっているのが素晴ら羨ましい。定量的な閾値の導出のためにはボトムアップなモデリングよりも統計モデルのほうが威力があるなぁ。